短歌川柳、俳句集
「短歌」 *撮影に出た時の短歌、俳句などを読み、その時の印象や光景を句の後に記したものです
伊豆の国みさきに出ては富士の山
岩に押し寄せ荒波しぶく
*西伊豆・黄金崎の展望台より海岸を見下ろすと西風に乗って荒波が岩場に打ち寄せはじけるような
白い波が幾重にも押し寄せる。
峠よりS字に映るひかりみち
夜空に浮かぶ富士の山
*歌川広重で有名な由比の薩垂峠から夕刻の国道を走る自動車の
軌跡と浮かび上がる富士が美しい.
絨毯を敷いたかの如くれんげそう
ふじを見ながら新幹線走る
*富士市浮島の田園を前景に走る新幹線を撮影するカメラマンや
レンゲソウのコントラストが目を休ませてくれる。
はいまつの実を集めてはホシガラス
岩に残せしからの数々
*南アルプス・荒川岳(悪沢岳)手前のハイマツ帯の岩の上に松ぼっくりのかすが無数に落ちていた。
ホシガラスが食べたかすだった。
稜線に今日も出てきたライチョウの
親子連れみて空を見上げる
*三〇〇〇メートルの稜線まで来ると目の前にライチョウの親子が来た。
普段は曇りや霧が発生すると餌を探しにハイマツの中から出るはずなのに。
神無月現れたるやオリオン座
富士の上から楯鉾持って
*南アルプス赤石岳避難小屋が閉まる十月はオリオン座が富士山の上に
姿を現す
さくらえび河口にほして赤絨毯
新雪纏う駿河の富士は
*富士川の河川敷には四月、十二月に由比漁港からサクラエビを干されたが
以前は河川せましと網が広がっていたが最近は不良で寂しい限りだ。
カメラ手に土手に生えたるつくしんぼ
遠くの富士に春を感じる
*富士川の土手を散歩しているとスイセンが咲いて居たり足元には土筆が
伸びていて春がそこまでやってきた。
立石の磯に生えたる松二本
打ち寄せ波とアロエと富士よ
*海岸に突き出た大きな奇岩は秋谷の立石で安藤広重の絵画で
知られ大潮の時は波が岩場に打ち寄せ駐車場まで波しぶきが飛んでくる。
白谷丸朝焼け待ってひと休み
やがて現れ富士と滝雲
*三時に湯の沢峠から山頂にきて朝焼けまでの間に撮影しやがて
日の出と共に大蔵高丸の稜線に甲府盆地からガスが乗り越えてきた.
ライトつけムルダイピーク来てみれば
アンナサウスとマチャの雲海
*早朝にロッジを出て日の出時間に山頂に到着すると三六〇度の展望に
足元には雲海が現れ朝焼けの素晴らしいモルゲンロートだ。
帰り道ふりかえ見ればラリグラス
真紅に染まりカメラ出す我
*アンナプルナBCからの帰りに見納めにと振り返ると木立の中に真っ赤な
シャクナゲを見つけた。
ヒマトレで可憐に咲くかサクラソウ
雪をかき分け道それ歩く
*マチャプチャレBC上部まで来ると新雪の間からピンクのサクラソウがところせましと顔を
出していた。
ランの花木々に寄生しまた一つ
日蔭に咲いても主張わすれず
*マルデヒマール途中の林に寄生したランの花を見つけた。日の当たらない場所でも可憐な花は
人の足を止めるものだ。
ヒマラヤの段々畑に芋の花
草取るすがたに昔を思う
*ランドルンからの帰り道で家族総出でジャガイモの草取りをしゃがんで農作業している姿は
昔の日本を思い出す。
ネパールも警笛禁止と規制され
昔と今の変化を思う
*十年前はカトマンズも一日中、車のクラクションでやかましかったが数年前から市内は罰金を科せられるため
静かになった。
コロナ禍で自粛生活もう限界
早く解除と待つ我が家
*新型コロナが蔓延し緊急事態宣言発令で外出を自粛するも何時になったら
解除になるか
戦車道カメラ片手にみちすがら
野草探して散歩するわれ
*新型コロナで自宅で自粛中に花のスケッチをはじめて散歩中に野草を見つけては
図鑑で探している。
アルプスの残雪踏んで稜線の
高嶺の花は今年も咲いた
*十数年通った南アルプスも頂上直下の雪庇にできた残雪の間に咲いている高山植物が
また見ることが出え来た。
赤石の魅力に誘われ今日もまた
花と酒とに疲れを忘れ
*赤石岳は長年登っているが避難小屋の管理人に手伝いながら写真談義とお酒がつい癖になる。
小屋番とスタッフは大変親切でいつも登山者を快く迎えてくれる。
年の瀬に友と訪れ大菩薩
木々に咲いたか霧氷の華よ
*年の瀬に通い続けた霧氷の撮影も海老の尻尾となるような霧氷は
中々見られないがようやく撮れた。
朝を待ちやがて明け行く峰々に
遠くに富士を引き立てるやも
*林道が開通する季節には山はまだ芽ぶきの始まりで、雲海が出現しやすいため狙って撮影にゆくがなかなか
思い道理には行かない。
山ツツジ真紅にそまり初夏をまつ
残雪纏う富士の山かな
*六月初旬の白谷丸にはミツバツツジや山つつじが咲き訪れるカメラマンも意外と少ない。
夜も更けて霊峰富士と天の川
我も負けじと煌めくオリオン
*夏の赤石岳での撮影は朝夕の撮影と夜間撮影で特に街明かりが少なく
星座の撮影は面白い。
あさぼらけ天を染めるや茜雲
雲海深く峰々うめて
*長年通った赤石岳の撮影もようやく実を結び日の出と共に深紅の空と稜線には雲海が景色を
添えて素晴らしい写真を撮らせてくれた。
頂きにあらわれたるや変わり雲
やがて波うち虹色に染まる
*十月の南アルプスで撮影のかえり道に朝霧高原で一夜を明かした時の撮影で日の出直後に富士山の
山頂に彩雲が現れた。
秋深く湖面を映すヤマモミジ
赤青緑と色とりどりに
*河口湖対岸の風景で朝早く波静かな湖面に写る紅葉はミドリや黄色と色づきがカラフルで
景色を独り占めができた。
山肌を染めて咲くのはラリグラス
赤やピンクがわが脚止める*
*マルデヒマールから下山中デウラリのロッジから振り返ると前の山一面が
満開のシャクナゲだった。
友と逢いひさしぶりだと飲む酒も
日ごろの憂さに時をわするる
*長い間逢わずにいた友達も久しぶりに会うと世間話に話が弾みつい酒の量も
増えてしまう。
山野草カメラ片手に撮る先で
図鑑をめくり探すわれかな
*自粛期間中の散歩で珍しい花を見つけてはポケット図鑑をめくり類似した花を探して写真に撮りスケッチの
題材にした。
雪降りて木々の梢も薄化粧
朝日に映える富士の山かな
*山中湖畔に前夜降った雪が枝に化粧して朝日にきらきら輝き、
芝生に写る影も特徴的だった。
春を待ち菜の花咲くや伊豆の山
花粉を運ぶミツバチの群れ
*西伊豆の河津桜の撮影時の光景で菜の花と河津桜の花に飛び交う
ミツバチが印象的。
桜咲く井田の畑とカメラマン
波動を越えて浮かび見る富士
*桜は河津桜のことで毎年この場所は撮影に訪れて特に菜の花畑が井田の文字で観光客に人気の場所で
駐車場がいっぱいになることがある。
伊豆の山遥かに霞む富士の山
河津の桜に集うメジロや
*桜とは河津桜のことで毎年この場所は撮影に訪れて最近は車の止め場所ないほど人が来る。
ヒマラヤの峰に咲くのかラリグラス
遥か彼方に聳える山々
*日の出時間に山頂に到着するとトレッカーが集まりそれぞれに記念写真を撮っていた、山頂先端には
白いシャクナゲが咲いていた。
コロナ禍でスケッチ描いて早六月
フジヤマ詣ではいつのことかと
*自粛生活で尾根緑道の散歩や高山植物、野草のスケッチと毎日七,八時間も
続けて描いていた。
コスモスの花から花へとアゲハ蝶
ポーズ作れよチャンスはいまだ
*忍野村のコスモス畑での撮影しているとアゲハ蝶が飛んできて蜜を吸っているのかカメラを向けると別の花へ
移りなかなか撮れない。
菜の花に群がる蜂とその先に
富士を撮る人ミツバチもおり
*菜の花畑で撮影していると観光客がその前に入っては邪魔をするが少しは
断ってからやってほしいものだ
密を避け並ぶカートの長い列
レジを抜けるとまた密になり
*スーパーマーケットでの買い物も列の足型で待つのはよいがレジを抜けると
先のテーブルでは蜜になっている。
新総裁ぬしは田舎の苦労人
共助、公助で絆を守る
*総裁選挙で自ら田舎の苦労人と言っていたが当初の人気はどこに行ったやら。
新型コロナの蔓延中で大変苦労をしたんです。
梅の木に作りし鳩の巣
卵抱く姿見て梅の収穫暫しやめ
*梅の実を採ろうと木に登ったら先端の枝にハトが巣を作り卵を温めていて逃げようともしなかった。
隣のツバキもメジロの巣になっている。
梅雨入りて晴れ間に咲いたアジサイも
青やピンクが富士を引き立て
*観光客に人気の大井町の農村公園に咲いたアジサイは富士山との距離や天候の条件があってシャッター
チャンスが少ない。
夜明けて雲海峰埋め
富士を染めては流れる滝雲
*赤石岳山頂からの撮影で朝焼け直後に後方の高山裏から発生したガスが赤石の稜線を
超えて滝雲になった。
田植え過ぎ棚田に映る富士の山
カエルの声に昔を思おう
*中野の棚田は逆さ富士の撮影や秋にはコスモスの花が咲きあまり知られていない撮影スポットだが
地元の人はカメラマンに対して好意的である。
富士を撮る新幹線とカメラマン
レンゲソウ咲きもうすぐ田植えか
*浮島沼周辺はレンゲソウを育て田んぼの肥料として花が咲いてからシロカキで機械で混ぜ込んで
緑肥として使う。
甘利山今年も咲いたレンゲツツジ
木道に立つカメラマンたち
*レンゲツツジの咲く時期には大勢のカメラマンやハイカーが訪れる場所で木道にはカメラの
放列もできるほどだ。
満月の夜半に出たよ吊るし雲
やがて広げた天使の羽根を
*高座山で夜半よりバルブ撮影中に一つの吊るし雲が現れて少しずつ形を
変えて、やがて羽根を広げた。天使の翼だ。
笠雲が現れたるや富士の山
やがて荒れるかカメラを早く
*精進湖で撮影が終わり機材を徹収中に突然山頂に傘雲が現れたの急いで三脚を準備し、
刻々と変化する雲の撮影に間に合った。
大菩薩夕べの雪が化粧して
風紋現れ富士を引き立て
*富士見山荘前で仮眠中夜中に雪が降りだしたので三時に起きて日の出間には妙見の頭前で撮影準備朝、
焼けと賽の河原では風紋撮影ができた。
富士山の残雪見上げ雪形で
今年の田植えはいつになるやも
*富士吉田の農道公園から四月末には田んぼの代かきが始まるころだが七合目に現れる雪形は
残雪が多くまだ見えなかった。
今日もまた山に分け入りキノコ採り
シメジは獲れてもマツタケ一つ
*恒例の松茸採りも恩賜林に分け入りたったの一本だけで毎年採取できる数が減り
今年もあと何回チャンスがあるか。
春告げる鶯の声まだ慣れぬ
やがてじょうずに鳴き声高く
*戦車道路を散歩中に先日から鶯の声が聞こえたがあれからしばらくたって、今日もいまだ
慣れない鳴き声が聞こえる。
レジの前マスク下げては鼻を出し
指なめ財布の金を数える
*スーパーのレジでお金を出しているが乾燥肌のせいかお札が出ない大丈夫かなおばさん。
ハイマツの間から出た親ライチョウ
雛の行方を声出し探す
*親のライチョウが何ながらひなを呼んでいるが一羽、二羽と出てくるがあと何羽いるのだろう。
はるぜみの鳴き声とまり空曇り
やがて日が照り鳴き声やまぬ
*今まで鳴いていた春セミも曇る鳴きやみ日が出るとまた鳴きだすのだが
どうしてでしょうか。
新緑を湖面に映し足を止め
二羽の水鳥波紋を残し
*湖畔を歩いていると新緑が目にとまりしばらく眺めていると水鳥が顔をだした、水草を探していた一度潜ると
しばらく出てこないがとんでもないところから顔を出すのはカイツブリだった。
船を出し漁場について釣りしても
気にかかるかな雪纏う富士
*三津浜から舟を出しハマチ釣りと写真を二刀流で狙ったがどちらもうまく行かなかった。
二兎を追うもの一兎も得ずとはこのことのようだ
山小屋で登山談義に花が咲き
百名山の残りはいくつ
*赤石岳避難小屋に高齢者の登山者が止まり百名山があと三ッというが残り聖、光岳というがこれからが大変だ。
聖と光岳は最低二泊は必要になる。
尾瀬の沼木道歩きすれ違い
歩荷の荷物に振り向き歩く
*尾瀬沼の木道で歩荷とすれちがった時のことだがビールケース三ケと食料らしき箱を数個背負子に乗せて
いたがはたして重量は。
水芭蕉カメラに収め振り返り
私も撮らせて待ってたわ
*木道で水芭蕉の花を撮影していたらいつの間にか数人が並んでいた、どうやら俺が撮り終わるのを
待っていたらしい。
稜線に鳴き声高く岩雲雀
虫を探してさえずり舞うかな
*赤石岳山頂直下の岩稜に夏には必ずやってきて昆虫等を探して雌雄で繁殖期を迎えるが今まで
その巣を見たことがない。
頂にダイヤモンドと陽の出まつ
水面に映る逆さダイヤよ
*田貫湖の湖畔で春、秋の彼岸頃にはダイヤモンド出現する。波紋に映るダイヤモンド富士はカメラマンの
知るところだ。
里の山ロウバイ咲いて春近し
霞の先に雪をまとう富士
*みかん畑に地主がロウバイの木をたくさん植樹してくれた。高齢化で維持が大変だというが
好意に感謝。
山シャクを種から育てて早一年
花を見るのは二年先かな
*昨年春に山シャクヤクの種をまいて十数本芽を出したが花が咲くのも早くても三年だがそれまで
元気でいたいものだ。
散歩道ベンチに座りスマホ見て
今日は何歩かまだ先歩む
*恒例の散歩も気分が良いのでもう少し先まで行こうかと途中のベンチで歩数計を確認し、もう少し先までと
頑張ってみた。
団塊の世代と言われ早後期
同期の仲間の音信問われ
*ここ数年、年始の賀状も健康で過ごしているという連絡だが古稀を契機に年賀状を終わりにしますと言う
挨拶が多くなった。
箱根路の展望台より見ゆ景色
遥かかなたにスカイツリーか
*箱根の十国峠展望台より相模、武蔵、上総、下総、安房、遠江、
駿河、伊豆、信濃、甲斐 と三島が見渡せる。
オーロラの天体ショーを眺めつつ
天の羽衣歓声やまず
*グリーンランドでのオーロラ撮影は初日から観測できたが最初はフラシュなどの光で邪魔にされたので
場所を変えて撮影した。
ヒマトレでエベレスト見たさに息切らし
重いカメラもこの先までだ
*カラパタール山頂を目指して空気の薄い中をガイド、ポータと共に今まで2回登頂した。
ヒマトレはこの先行くことができきるのか心配だ。
烏帽子岳ライチョウ岩に舞い降りて
富士山バックにカメラに収め
*相棒と二人烏帽子岳山頂で撮影しているところにライチョウが岩に
とまったところ のシャッターチャンスをとらえた。
うすくらき林に咲いてギンリンソウ
南蛮ギセルによく似たり
*三伏峠直前の鬱そうとした林で足元に四、五本見かけたのがはじめてのことでなんだこれと
後で調べたらギンリンソウだった。野草図鑑には幽霊草とも書いてあった。
くさかげに凛とたたずむ思い草
宿主探し寄生するかも
*思い草とは南蛮ギセルのことでギリョウソウともよく似ているが、野に育ちススキや
ミョウガなどに寄生する。
黒百合の花を保護してはやみとせ
あれから苗は増えもしたのか
*南ア・中岳避難小屋横に群生している黒百合を保護のため柵を強固に囲っておいたが
その後心無い登山者に踏まれずに育っているか心配だ。
さらさらと流れ下りてモミジ舟
ゆく秋さみしどこまでつずく
*日川渓谷の流れのゆるいところをモミジの葉が流れて行く様は郷愁を感じながら
キノコ採りをしていた。
孫もはや大学受かり一年生
友とも会えず遠隔授業
*新型コロナ発生から二年、卒業式も満足にできなかった学生もいる反面入学しても
会うことも難しいズームでの授業のようだ。
風景画書いては消して掌の平の
隅の汚れは皺と残れり
*鉛筆画で風景を描いては何度も書き直しするが掌についた汚れは洗っても
綺麗に落ちきれずまだ残っている。
モミジ狩り飯盛山に子らの声
りユックひらいて昼のひちとき
*平沢駐車場には関東の小学生が大勢やってきて先生とガイドの引率で飯盛山へ
ハイキングをする。五。六年生だろうか、山頂でお弁当の時間だ。
昼下がり銃声なって犬ほえて
林をかける鹿の姿は
*冬の菰吊し山から下山中に銃声が一、二発なって目の前を鹿が林の中を逃げてきた、
犬が吠えながら追ってゆくがどこまで逃げたかわからない。
大地震ヒマラヤ襲って大打撃
友と訪れ喜捨とお見舞い
*二〇一五年のネパール大地震の後、友と山岳会で募った寄付をもってガイドの村を訪れ
村の集会所の建設に寄付をし、大歓迎を受けた。その後記念のレリーフを作るようだ。
華霧氷峰一面に咲き誇り
富士の姿もなお麗しきかな
*冬は連続して車中泊で大菩薩に入り雪化粧と霧氷を狙って撮影に行き、イメージどうりの
写真撮影ができた。
ラベンダー湖畔に咲いて藍色に
そよ風吹いて香しきかな
*河口湖畔に咲いているラベンダー畑に風が吹いて花の香りが漂ってきた。富士山の上には
変わった雲が現れて風はしばらく収まりそうになかった。
箱根路の展望台より見ゆ景色
遥かかなたにスカイツリーを
*箱根の十国峠展望台より相模、武蔵、上総、下総、安房、遠江、駿河、伊豆、
信濃、甲斐 と三島が見渡せる。
オーロラの天体ショーを眺めつつ
天の羽衣歓声やまず
*グリーンランドでのオーロラ撮影は初日から観測できたが最初は
フラシュなどの光で邪魔にされたので場所を変えて撮影した。
ヒマトレでエベレスト見たさに息切らし
重いカメラもこの先までだ
*カラパタール山頂を目指して空気の薄い中をガイド、ポータと共に
2回登山した。
日ノ本の遺産登録待ちわびて
桜をめでる人の賑わい
*富士吉田の浅間公園も世界遺産に登録されてから観光客が押し寄せ展望台から満開の桜と
五重の塔からの眺めが人気の場所である。
烏帽子岳ライチョウ岩に舞い降りて
富士山バックにカメラに収め
*相棒と二人烏帽子岳山頂で撮影しているところにライチョウが岩にとまったところ の
シャッターチャンスをとらえた。
さらさらと流れ下りてモミジ舟
ゆく秋さみしどこまで続く
*日川渓谷の流れのゆるいところをもみじの葉が流れて行く
さまは郷愁を感じる。
孫もはや大学受かり一年生
友とは会えず遠隔授業
*新型コロナ発生から二年卒業式も満足にできなかった学生
もいる反面入学しても会うことも難しい。
風景画書いては消して掌の平の
墨の汚れは皺に残れり
*鉛筆画で風景を描いて何度も書き直しするが手の平についた墨の汚れは机の
上まで残った。
大地震ヒマラヤ襲って余震まで
友と訪れ喜捨とお見舞い
*二〇一五年のネパール大地震の後、友と山岳会と募った
お見舞いの寄付を持ってガイドの村を訪問しロキシー(焼酎)と首にかかり切れないほどの歓迎を受けた。
箱根路の展望台より見ゆ景色
遥かかなたにスカイツリーを
*箱根の十国峠展望台より相模、武蔵、上総、下総、安房、遠江、駿河、伊豆、
信濃、甲斐 と三島が見渡せる。
オーロラの天体ショーを眺めつつ
天の羽衣歓声やまず
*グリーンランドでのオーロラ撮影は初日から観測できたが最初は
フラシュなどの光で邪魔にされたので場所を変えて撮影した。
ヒマトレでエベレスト見たさに息切らし
重いカメラもこの先までだ
*カラパタール山頂を目指して空気の薄い中をガイド、ポータと共に
2回登山した。
烏帽子岳ライチョウ岩に舞い降りて
富士山バックにカメラに収め
*相棒と二人烏帽子岳山頂で撮影しているところにライチョウが岩にとまったところ
シャッターチャンスをとらえた。
さらさらと流れ下りてモミジ舟
ゆく秋さみしどこまで続く
*日川渓谷の流れのゆるいところをもみじの葉が流れて行く
さまは郷愁を感じる。
孫もはや大学受かり一年生
友とは会えず遠隔授業
*新型コロナ発生から二年卒業式も満足にできなかった学生
もいる反面入学しても会うことも難しい。
風景画書いては消して掌の平の
墨の汚れは皺に残れり
*鉛筆画で風景を描いて何度も書き直しするが手の平についた墨の汚れは机の
上まで残った。
大地震ヒマラヤ襲って余震まで
友と訪れ喜捨とお見舞い
*二〇一五年のネパール大地震の後、友と山岳会と募った
お見舞いの寄付を持ってガイドの村を訪問しロキシー(焼酎)と首にかかり切れないほどの歓迎を受けた。
選抜も人数制限緩和して
ブラスバンドの音鳴り響く
*コロナ禍の蔓延防止も解除になり甲子園もようやく観客入場者数が緩和され、出場校のドラムや
管楽器での応援が一段とにぎやかになって
旭日待ちやがて雲間に冨士の峰
霧氷の華は稜線に咲く
*大菩薩の神部岩の前で撮影中に前方の霧が取れてサラサドウダンの枝が霧氷で花が咲いたように
びっしりと凍りついた。
秋の夜にカメラ並べてひとり酒
流れる雲と雲の海かな
*西川林道で夜間撮影のカメラを二台セットして酒を飲みながら長時間撮影をし、流れる雲と
河口湖に立ち込めた雲海を撮影した。
雪ふりて木々の梢も薄化粧
朝日に映える富士のやまかな
*二月の冷えこんだ朝、忍野の川添いの土手に川霧が立ち込め花桃の木が霧氷で花が咲いた
ようにきれいに化粧をした。
雲わいて峰を埋めたり甲斐の里
富士を引き立て山つつじ咲く
*甲州市柳沢峠から山ツツジの撮影で三窪高原山頂のハンゼの頭より撮影したときの情景で
甲府盆地に雲海が沸き御坂山塊と富士山を撮影。
炎帝の畠に咲いたよグラジオラス
忘れていないか向日葵のことを
*真夏の朝に撮影途中で立ち寄った忍野村で見つけた畑に咲いたグラジオラスの花と横に
一本ひまわりがあった。
秋深き葉の一枚も土となり
明日は若葉のもととなるかも
*甘利山の撮影行で東屋から山頂までの中間にサラサドウダンの紅葉があり今まで幾度か
撮影で狙っていた。立ち入りできない場所なので落ち葉は絶好の腐葉土となる。
秋深く風に吹かれてほうき草
やがては刈られて実を結び
*河口湖は大石公園にほうき草が絨毯を敷いたように咲いている晩秋には真紅に色ずき
むかしは箒の材料として刈り取られたものだ。これもいずれは?
富士アザミこうべを垂れておじぎして
道行く人の調べになるらん
*富士山の宝永火口に通じる二子山の登山道に富士アザミを見て花が大きく皆頭を
下げて登山者の道案内をしているかのように見える。
石楠花も富士ときそいし咲く花に
我を忘れて見とれたり
*大観山のシャクナゲ撮影に行き久しぶりの好天に恵まれて撮影したときの光景で
あまりにも花と富士とが素晴らしかった。
雪柳くるまのすぎて揺れて咲き
ましろき富士とよくにたり
*山中湖畔に咲いていて車やバイクが通過すると細い枝が勢いで揺れるさまと富士山の
白さが重なって見えた。
金冠の道の山吹咲きにけり
峰の桜はいつ咲くのやら
*金冠山に馬酔木の花の下見に行ったときは丁度山吹が咲いていたが山桜は
まだ蕾だった。
松田山ハクモクレンや咲きにけり
声なき鹿の足跡たどり
*ハクモクレンと花桃の撮影を松田山に行ったときに登山道を外れて山に入ったときに
まだ通ったばかりだろうか新しい鹿の足跡が無数にあった。
「俳句」
トラベルに行きたいけれど金はなし
*新型コロナ発生で緊急事態宣言解除後のゴーツートラベルも
金がかかるのであきらめた。
秋彼岸蜜を避けての墓参り
*新型コロナ発生当時は自粛して墓参りは見送っていたが翌年は
時間をずらして出かけた。
初夏に咲き色とりどりに のぼり富士
*忍野村の畑にルピナスの花が植えられている。のぼり藤と言って赤、ピンク、紫、黄色等
たくさんあり富士つながりで盗掘もある。
コロナ禍ですすむ断捨離あとわずか
*コロナで外出自粛中はできるだけ富士山撮影を控えて自宅で出来る 登山中に読んだ俳句や花の
スケッチと断捨離などで過ごした。
詰め将棋難解説けず夜が更け
*自粛中はほとんど自宅でスケッチ描いたり普段できなかった詰将棋などを説いて いたが特に難解な
問題は時間が過ぎるのを忘れた。
コロナさけ 行き交う人と眼で会釈
*外出自粛中は近くの戦車道路(尾根緑道)などで散歩に出たが皆マスク姿で行き交う人も
声を出さず挨拶は目や手を合わせたり不思議な光景だった。
ツメクサや幼いころの首飾り
*カメラやスマホを持っての散歩で道端の花を探しているとツメ草を見つけたがはるか昔の子供のころ
遊んだことを思いだした。
ヒナギクも ひとりしずかに春わすれ
*ヒナギクはデイジイとも呼ばれ野山や道端に咲き
可憐な花である。
カッコウの声に誘われひとやすみ
*春の登山中にかすかに聞こえてきたカッコウの声がだんだん近くまで来たので
声を聴きながらしばしの休憩。
戦車道 ソメイヨシノの花吹雪
*毎年のことだが3月下旬から戦車道(尾根緑道)は桜が咲始め十八種類が時期をずらして咲き
コロナの影響で桜まつりは中止になっている。
あまのはし逆さに覗く登り龍
*天橋立は京都府宮津市の宮津湾と阿蘇海を南北に隔てる砂洲でバスツアーで訪れ展望台で
股のぞきで確かに龍のように見えたのが思い出に残る。
旅にでて昔をしのぶ妻籠宿
*妻籠宿はバスツアーで訪れた中山道四十二番目の宿場町で馬籠宿とともに木工細工やみやげもの屋を
のぞいたり昔をしのぶ思い出の地である。
湿原をわたる風うけカヌー漕ぐ
*釧路湿原をノロッコ列車に乗ったり釧路川をカヌーで楽しんだり又、タンチョウの
写真を撮ったり夏の思い出だ。
シバザクラカートで巡る藻琴公園
*だいぶ前だが北海道旅行で屈斜路湖、摩周湖を巡り、春の芝桜が咲く藻琴公園で
子供時代に帰って電動カートに乗ったことを思い出す。
利尻富士ながめたあとは蟹と雲丹食う
*夏に利尻、礼文島のトレッキングツアーでは高山植物を見たり海岸線まで下り海岸で
浜焼のウニ、カニを楽しんだ。
カッコウの鳴き声聞けば夏近し
*以前共同の山小屋作りでトンカチの音に紛れてキツツキの音や遠くからカッコウき声が聞こえてきて
今年ももうすぐ夏が来るんだと思った 。
水面にモリアオガエルの孵化落ちて
*はたご池という静岡の池で毎年のように池の端の木に産卵した卵が孵化を迎えて一つ、また一つと
池に落ちてゆく光景をしばらくの間見ていた。
せせらぎの草むら光る蛍かな
*流れの緩い小川のほとりに夜になると草むらから一つ、二つと黄色い光をともしてやがて蛍は光跡を
残して放ち飛び立った。
まくらもと羽音でおきてゆくえを探し
*夏の夜中に電気を消した寝ようとしたらしばらくしてブーンと羽音が首周りを飛んできた蚊だ、
つかまえようとしたらどこかに潜り出てこない。
砂浜の 遊泳禁止に服をかけ
*江の島での光景で砂浜に注意看板が立て掛けてありそこに脱いだ服をかけて海に飛び込んだ不
謹慎なやつがいた。
ハクチョウもポーズとってや朝の富士
*山中湖畔で日の出の撮影をしていると必ず白鳥が近づいてきて餌を狙っている。
写真を撮ろうとするが目の前まで来てポーズが取れない。
うぐいすが今年も啼いたよ散歩道
*散歩中に雑木林から今年の鶯の初鳴きが、いつもの年より早く泣き出したまだ若いのか
へたな鳴き声は「ホ~ホケ」で終わり。
しもばしら朝の冷気で襟を立て
*山梨、長野の県境の山に登山中今年の初霜が降りて四,五センチの霜柱ができた。
冷気の中で雲海が出るのをひたすら待った。
サクラちり 川面に映る花筏
*山梨の忍野八海の新名庄川のほとりに緩やかな流れの中に花びらが筏のように流れる光景が
カメラマンの意欲を誘る。
みずうみに沸き立つ靄と小舟かな
*早朝の精進湖の湖面に漕ぎ出したボートのヘラブナ釣りが船を止めて竿を出している光景は
富士山撮影の被写体になる。
あまのがわはさんで逢えるか年一度
*八月、南アルプス・赤石岳山頂から富士山と天の川が撮影の対象で
夕刻から夜半までが絶好のチャンスだ。
ドローン飛び雲間に見えるか秋の富士
*ちょうど初秋の赤石岳に日本三百名山踏破中のスタッフが飛ばしたドローンは山頂から
富士に向かって飛び出した.。
ヒマラヤに とどろきわたる雪崩かな
*アンナプルナBCで突然轟きわたる轟音はマチャプチャレから崩れ落ちる雪の音で日に
何回となくヒマラヤの山塊で起こる光景だ。
かみなりに 追われて急ぐ避難小屋
*南アルプス・烏帽子岳と小河内岳の稜線で午後には雷が鳴り始め近ずいて来るので急いで
避難小屋に向かって行き小屋につくなり豪雨となった。
ライチョウも雛を連れての夏の午後
*赤石岳稜線でライチョウのひなに出会ったが親は近くで見張っていて登山者が近ずくと
グーグーと啼き威嚇する。
黄落の中にみつけし銀杏を
*白糸公園で撮影場所を探して散歩中に銀杏の実を見つけ拾ってきて酒の
肴として食べると意外とうまかったので毎年拾いに行く。
蔓もどき集めてまきし師走かな
*普段は撮影の対象外だが梅もどきの花は年末にはリースとして飾ると意外と
見栄えがする。
コスモスや遠嶺富士に色をそえ
*最近では雪を纏った富士とコスモスの花が時期が合わずあきらめていたが十月の初雪で
白、ピンク、赤と思い道理に撮影できた。
ゆきふって皇帝ダリヤ凛と立つ
*十月になると恒例のように皇帝ダリアの花が咲き大輪で背丈が二,三メートルになり
やはり富士山は雪化粧に映える。
めはじきを抜けばはじけて飛び散りて
*しそ科の二年草で子供のころは茎を切って瞼に挟み遊んだことがある。夏から秋にかけて
薄紅色の花が咲く。
曼殊沙華 棚田を染める彼岸かな
*富士宮市郊外に行くと田の畔にお彼岸の頃に咲き稲穂と赤紫の花が富士山を
引き立てる。彼岸花を畔に植えるのはモグラ対策。
竜胆の岩陰咲くや風をさけ
*南アルプス・荒川岳のお花畑で登山者の目を引くクロユリとリンドウの花は
シュールで可憐だ。防鹿柵が設置され高山植物が保護されている。
マツタケを 探してマツをめぐりけり
*毎年、富士山麓で松茸狩りをするが最近は不作で他のショウゲンジやシメジの
種類しか採れない。
キツツキの音楽林に鳴り渡り
*冬近くなると別荘地の林内でキツツキが虫を探す音がコンコンと鳴り響くが
不思議と複数で来ることはなさそうだ。
春セミの曇りてやんで照って啼き
*夏前の樹林でひときは激しく鳴く春セミも照っているとうるさいが曇ると
泣き止み照るとまたジージー鳴き始める。
野に降りて虫を探すかやまどりや
*高座山の山焼きの野に山鳥が舞い降りて虫を探しているんだろうがちょこちょこ
歩きながらしきりに土をつついている。
しっこくの森でいななく鹿の声
*夜半過ぎに大弛み峠を出てしばらくすると暗闇の中からピーピーとシカの声が
やがて今度は牡鹿の声で発情期がきたんだね。
アオサギが小魚ねらい池のはた
*山中湖畔で撮影のチャンスを待っているとワカサギの定置網の杭に止まっていたアオサギが水面に
飛び込んだと同時に小魚を加えてまた杭に止まり魚を飲み込んだ。
コゲラの子親の真似して幹つつく
*庭先の梅の木にコゲラが数羽飛んできて木の肌を突きだし親が飛んできて
木登りするかのように虫を探している。
コハクチョウ向かい合ってはハート型
*山中湖畔では決まったように餌付けの時間か管理人が軽トラで鳥の餌まきが
来るとどこからともなく白鳥や黒い鳥が集まる。
田植えすぎ棚田に映る逆さ富士
*御殿場郊外の棚田で五月に田植えが始まりやがて早苗が定着する頃には
残雪をまとった富士山の姿が水面に。
アヤメ咲き雪形写る逆さ富士
*忍野村の耕作畑に植えたアヤメの苗も四月末に富士山の山肌に雪形が現れ春の
農作業を占う知らせだ。
狩の野に兵どもの碑を見たり
*富士宮市の狩宿に源頼朝の下馬桜というところがあり周辺は菜の花や河津桜が
咲き有名なところ。
古道ゆき峠の先に富士の嶺
*大井松田の鎌倉古道は河津桜が有名で周りには史跡がたくさんあり菜の花が咲き週末には
見物客が大勢訪れる。
新緑と湖面に映るひつじ雲
*河口湖畔のもみじ街道には秋には紅葉と富士山を撮りにカメラマンが多く訪れるが新緑期には
観光客も少なく蜜にもならない
初夏の山 コナシの花に群れるハチ
*三窪高原はミツバツツジの撮影地で六月初旬に訪れても意外とカメラマンは少なく山頂直下に
コナシの花が咲き秋にはその実がかじるとアマ酸っぱい。
渓流の流れも静か耳すまし
*毎年紅葉の撮影時期になると湯ノ沢峠に入る途中の渓流でキノコ採りに入るが渓流釣りも終わり
静かな沢だ。
登山道森に響くや瑠璃の声
*南アルプス・赤石岳登山道で七月末に普段は聞きなれない瑠璃の鳴き声を
聴きながらの単独行も風情を感じる。
田の畔に アカやピンクのシバザクラ
*富士吉田の農道公園そばの棚田の畔に咲くシバ桜は田植えが終わり早苗と
逆さ富士との相性が良い。
高嶺花 踏まずに下ろす荷物かな
*南アルプス・北沢源頭で頂上分岐を目前にして最後の休憩もお花畑で荷物を下ろすにも花を
踏まないよう気を配る
枯れすすき風になびくや穂はどこえ
*忍野の裏山ですすきの撮影に行ったら風に吹かれて綿毛が飛び散りしばらく風がおさまるのを
待つことになった。
秋深く水辺を流れるモミジ舟
*紅葉の時期を過ぎるとやがて風が吹き葉が落ちいかだ舟のように静かにせせらぎを流れてゆく。
山中湖を源にやがて相模湖を経由して神奈川県に流れる。
まがり竹山菜取りで猪追われ
*富士山新五合目の道路から笹のタケノコを採りに入ったらウリ坊の鳴き声とともに子育て中の
母猪に追われた。
コケモモの実を採り暫しひと休み
*南アルプス・北岳の稜線で撮影も終わりコケモモの群生を見つけ仲間とともに採取し
コケモモ酒をつけた。
果実酒を絞る途中でつい味見
*撮影に行ったついでに山菜シーズンに果実など採取し、サルナシ、コケモモ等は焼酎漬けにするが
実を絞りながらの味見は格別だ。
ヒマトレもコロナ終われと願うわれ
*二年続きのコロナウイルスは高止まりで収束が見えない今だが海外渡航禁止ももうそろそろ
解除になってほしいものだ。
畑のはしときを告げるか蕗の薹
*雪解けのあと久しぶりに畑に行って見ると隅のほうで蕗の薹が芽を出していて
春の気配を感じた。
ながれぼし夜どうし撮って星二つ
*しぶんぎ座の流星群を狙って一晩中撮影したが流星は少なく七〇〇カット中フレームには
流星の数二つが最高だった。
カサカサと 落ち葉ふみしめ朝散歩
*十二月の夜明け前に散歩に出たが林の間の散歩道霜で枯葉を踏むとカサカサと
心地よい音がした。
富士川の春の香りや梅の花
*年末に梅の剪定を終えてから早くも二月、梅のつぼみも膨らみはじめて木の肌も同時に香りを
漂はせてきた。
ウイズマスク目を見てわかる人もあり
*コロナ禍で皆マスク生活しているため最初は誰かわかりにくかったものも慣れてくるとすれ違っても
だんだんわかるようになった。
初詣鈴鐘つけず手を合わせ
*元旦の初詣も神社は大勢の人出で賑わっていたが、鐘撞堂と本坪鈴は感染防止のため固定され
撞くことも鳴らすことも出来なかった。
接種して やがて痛みと副反応
*三回目のワクチン接種し発熱や副反応が出るかどうか心配したけれど
問題なく安心した。
紅梅の匂いに誘われメジロかな
*大井松田の山中に紅梅の撮影に行った時のことで撮影中に花の匂いに誘われたのかジロがやってきた。
梅の木しかないのでメジロは次々に集まってきた。
晩秋の闇に聞こえし鹿の声
*秋も深まり夜中に登山道を行くと途中の林の中でメスを探している
鹿の鳴き声が聞こえてきた。
カーリングブラシで掃いてナイストライ。
*北京5輪準決勝でスイスをビッグエンドで4点を取り8対6で決勝に進出した。
チームワークの良さが出た証。
スケッチも色を塗らない雪景色
*鉛筆画では風景の濃い黒以外は雪の色は白がないのでグラデーションで
薄く塗り白を表現してみた。
古稀を過ぎ次は後期か断捨離するか
*古稀を過ぎても自分では若いと思っているが体と行動がどうもうまくゆかず
あれこれそのが多くなる。
テレビ観てキャストの話にダメ出しをいう
*スポーツ番組などの解説にMCが言った言葉にまたかんだとか、いちいち文句を言うことが
多くなった。
ひとり酒銀杏肴に夜も更ける
*写真撮影の帰りに銀杏拾いして乾燥しておいたが酒の肴を思い出してフライパンで焼いてつまみにして
食って夜の更けるのを忘れた。
流れ星願いかなうか目を覚まし
*流星群の撮影をしばらく追いかけていると願い事がかなったが目を覚ましたらああ!それは
夢だった。
寒風に龍のごときか御神渡り
*一、二月の諏訪湖に現れる御神渡りは湖面が全面結氷した後、気温の上昇によって収縮し亀裂が生じ
盛り上がる現象。
ボート曳き帰りは漕いでやワカサギ釣り
*冬の風物として山中湖が結氷するとワカサギ釣りの人たちは氷上をボートを曳いて行くが
午後には氷が解けて帰りには漕いで帰る。
マスクより漏れる息見て襟を立て
*朝の外出でマスクから白い息が漏れてメガネが曇ったり思わず首筋から冷気が入り
さむー と襟を立てる。
古戦場いにしえびとの碑を見たり
*野辺山近くの平沢峠駐車場は平沢山、飯盛り山登山口ですぐそばに名将の首塚があり下山後の
お茶の時間によく休憩するところ。
やまぶどう振りかえ見ればサルもまた
*国師岳撮影の帰りに途中で山葡萄を採取し金峰牧場近でつるを見つけ車を止め探しに
行き振り向いたところでそこには先客のサルがいた。
啓蟄を過ぎれば 彼岸か農作業
*土の中の虫が這いだすとか樹木に巻いたコモなどを外す時期で合わせてこれから農作業の
準備が始まる。
予報聴き二十四節季すぐ春だ
*気象予報士の説明では翌日の気温や節季を詳しく紐解き説明してくれて気象技術も進歩し
精度良く当たる。
富士山を 飽きずに愛して四十年
*富士山撮影も大半が車中泊で長いときは三、四日、夏や秋は山小屋に長く滞在したり
してきた。趣味はほかにもまだあるが頑張れそうだ。
いっしんに蜜を吸ってはぶらさがり
*春めき桜の枝先の花につかまりさかさまになってまで蜜を吸っている様子はまるで母親にしがみ
ついているように見える。
春眠や波を漂う小ハクチョウ
*山中湖畔で朝の餌を食べ終わり、湖の波に任せて半分寝ているようにゆらゆらと浮かんでいた。
湖畔には毎朝ハクチョウの餌やりが来る。
ボケのはな春を待つのか木の下で
*庭の片隅に数株の草ボケがあり今年も早々とたくさん蕾をつけ、その中から一、二個は
果実をつける。
スイセンの花一輪を花瓶さし
*庭に咲いたスイセンの花を摘み今年最初に咲いたものを玄関に飾ってみた。
黄色いラッパスイセンは花が大振りで白いのは伊豆の爪木崎で購入したもの。
アイゼンの雪踏む音や静けさに
*大菩薩峠へヘッドランプを灯けての登山中に昨夜からの新雪を踏むアイゼンの音だけが
サクサク聞こえた。
バンダナもやぶれてもなおミシン掛け
*お気に入りのバンダナも数種類あるが色褪せたりしてもったいないので破れた箇所は自分で
ミシンを掛けて直して使っている。
冷蔵庫むかしのフィルム未開封
*フィルムカメラからデジタルに変わって約二十年も経過し、いつか使おうと思ってそのままで、
この先使うかと大事にとってある。
灯をともし宙を飛んでもあと七日
*源氏ホタルの幼虫期は小川の川底などでカワニナを食べて生きているが成虫となっては寿命が
短く約一週間だと言われている。
辰の刻大三角と オリオン座
*南アルプス・中岳避難小屋の前で午後十時ころからバルブ撮影したときの富士山五合目付近
からオリオンが登りはじめたときの光景を撮影。
朱に染まるイロハモミジと白き富士
*大月から湯の沢に行き大倉高丸経由でハマイバ丸で紅葉の撮影をした時の一枚。
登山者やカメラマンも来ず誰にも邪魔されず絶好の撮影日和だった。
シャクナゲに明かりを灯す初夏の夕
*五月大型連休明けの夕暮れ時に大観山から落日を狙ってのストロボ撮影。
狙いはもう少し空が焼けてくればという思いもある。
花桃に誘われ来たり駿河の富士と
*河津桜の盛りを過ぎて次はモクレンと花桃の咲くシーズンでいつものように西伊豆は
井田で駿河湾越しの風景を狙った。
青空に凛と構える花こぶし
*西伊豆で桃の花の撮影帰りに三島市郊外に狩野川の近くに一本だけこぶしの木があり
毎年狙っていたものでちょうど満開のタイミングに出会った。
平成の棚田を飾る梅菜花
*富士宮市郊外の「平成の棚田」という場所に毎年菜の花と豊後梅が咲くところで棚田は
見えないが楽しめるところ。
雪降りて皇帝ダリア凛と立つ
*富士宮市郊外のお寺の前に皇帝ダリアが毎年たくさん花が咲き前日の雪が富士山を
白く化粧してくれた。
神無月地を這い染めるウラシマツツジ
*赤石岳頂上横の斜面に群落するウラシマツツジがちょうど紅葉の時期を迎え
真っ赤に色ずいた時で、小屋締めの前日で撮影できた。
あさまだきやがて曙 富士をも照らす
*甘利山途中の東屋前の撮影場所で夜中から朝まで夜間撮影し、薄暮時には甲府盆地に
街明かりが薄い雲海をつきぬけ淡い色を残した。
秋彼岸頭上を映す瑞相や
*富士宮市郊外の林道で太陽が富士山の上に昇ってくる時間帯で山頂の薄雲が彩雲と
節句すぎ棚田を映すおらが富士
*五月には中野の棚田も田んぼの代かきから田植えも終わりちょうど早苗が根を張った
頃でカメラマンが殺到するが平日ですいていた。
冬の朝富士の背後や ビーナスベルト
*箱根の大観山で夜明け前から撮影し、空は雲で朝焼けは多少あったが雲の下には
天使の梯子と言われているビーナスベルトが出た。
空染めて鏡に映す 愛の鐘
*足柄峠の駐車場にできた愛の鐘、カップルがカギをかけたりしているところで昨夜の雨で
できた水たまりには富士山も。
朝霧の霧氷となりてやがては靄に
*忍野村の早朝は朝霧が霧氷に変化し、日の出から気温が上昇すると次には
靄となった。
東岳ダイヤモンドも 富士に負けじと
*南アルプス・荒川中岳からの撮影で悪沢(東岳)頂上から八月二日に太陽が顔を出す
富士山のダイヤモンドと光景は同じ。
コスモスの枝しなやかに風に揺れ
*富士山に新雪が降り雪化粧してコスモスも見ごろを迎えるシーズンで雪とコスモスは
相性が良いが風が止むまでは待つことになる。
富士を背に色鮮やかにシバザクラ
*河口湖畔大石公園の寄せ植えの芝桜、カメラマンや観光客が多く人物を入れないように
待っての撮影で根気がいる。
新緑の香りや涼しくひと休み
*御坂山塊の節刀ヶ岳に撮影に行く途中で金山峠まで登りちょうど休憩する時間帯で
鬼ヶ岳や十二ヶ岳、大石峠への中間点で新緑が見ごろだった。
山肌に雪形あらわれ タネをまき
*富士山七合目の斜面に雪形(農鳥)が出ると田植えや種まきのシーズンだと言われて
いるが最近はひよこの形が多い。
梅雨明けを待って空には乱れ雲
*梅雨明けが遅く白谷ヶ丸でチャンスを期待して撮影に行き滝雲は出なかったが
巻雲は出た。
赤石の空に現れ 翼とクジラ
*赤石岳での撮影が終わりかたずけようとしているときにふと見上げると面白い雲が現れ
鳥の翼とクジラがダイブしているようだった
春告げる川面に咲くや 雪中花
*忍野村の川べりには毎年桜やスイセンの花が一面に咲きカメラマン定番のところだが
なぜか誰もいなかった。
傘雲や田植えのあとの晴れ姿
*忍野村も四月下旬には田植えが始まり、稲が根ずいたころにちょうど出会った光景で
運よく撮影できた。
あとがき
へたな句ですが長年の登山経験と富士山写真等をもとに詠んでみました。
コロナ禍で撮影も控えたり、自宅周辺の散歩で感じたことなどをまとめて一句ごとにその時の
説明をしています。
短歌、川柳、俳句二〇六選
編集、構成、印刷 自作製本 角田 要
二〇二二年四月